地獄少女二籠第９話

二籠第９話。あの予告はなるほどこういうことだったのね（笑）。暗いそして重い。さすがは地獄少女というか・・・今回もヘビーな内容。愛と憎しみは表裏一体、エネルギーのベクトルが正か負のどちらに向いているかという違いだけなので依頼者の心情もありえなくもないですが・・・関係が関係だけにねえ。では第９話「あにいもうと」の感想です。


二人の想いは本当は一つだった。しかしそれは決して許されざること。一人は男を捨てることで、またもう一人は自分の想いを封じ込めることで自分達の本当の気持ちから逃れようとしますが・・・。「大好きで大嫌い」「優しくて残酷」「愛しくて憎い」そんな愛憎混濁した思いを抱きながら地獄通信にアクセスしてきた今回の依頼者須崎真帆。ターゲットは兄でありたった一人の家族でもある須崎幹夫。


彼女は何故か付き合った男性にことごとく好きな人が出来、ふられてしまいます。しかしその原因が兄幹夫によるものだということはわかっていました。彼女はあいから藁人形を手渡され契約内容を告げられます。今回の事例に興味を持った一目連はこの二人について調査を始めるのでした。


兄は売れっ子のモデルで、女性よりも美しいルックスの持ち主。妹真帆の前では優しい兄である彼でしたが、影では「ミキ」という女性になり妹に言い寄る男をその女顔負けの美貌で排除してきたのでした。全ては「兄」としての領分を越えた妹に対する思いから来る「男の嫉妬」が彼をこの行動に駆り出していたのです。あれだけ綺麗だったら心を奪われてしまうのもわからなくもないですがねえ。実際の世界でも女に見間違えるかのような容姿の持ち主いますし。宝の持ち腐れっていうかもったいないっていうか（笑）。


思いを寄せられてた男性から次の日またいつものように別れを告げられてしまった真帆。家で女物の服やカツラを見つけた真帆はそれがまた兄のせいだと確信します。そのことを幹夫に問い詰める彼女、幹夫はついに妹への許されざる思いを打ち明けるのでした。


今まで抑えていた思いを爆発させ、真帆に迫る幹夫。しかし真帆に拒絶され我に返った幹夫は家を飛び出してしまうのでした。このままではいつか抗えない時が来てしまう、そうなればもう元には戻れないと真帆は人形の糸を引くのでした・・・。許されないことはわかっていた。だから女になりきることで「男の自分」を捨て去ろうとしていた幹夫。そんな暗闇の中を彷徨っていた幹夫は妹によって地獄送りにされたことを聞かされると、もうこれで真帆を傷つけないで済む、と安堵。そして残された妹は兄の女物の服を抱きしめながら自分もすぐに逝く、と呟くのでした・・・。


兄妹と男女との狭間で苦しみ続けた結果の哀しい末路。まあ確かに許されないことなんでしょうけど、両親を無くし二人きりで助け合いながら暮らしてきたという背景から見るとよくあるパターンなのかなと。自分達二人しかいないという互いへの強い依存が愛情に変わっても不思議でありません。それにしてもまた後追い発言か・・・あまりの暗さに見ててこっちまで沈んでしまいましたね。あのまま一緒にいてもあの二人が行き着くのは冥府魔道だったかもしれませんが、地獄少女というシステム自体が人の業そのものという感じがしてなりません。次回は千葉さんだから少しは明るくなるのかな。前作の地獄少年の回みたく救いになってくれるといいのですが・・・。次回にも期待しましょう。