うーん今回はよかった。前回に引き続き、シリアス展開でしたがラハールが何故「愛」を憎むのか、そしてラハールの微妙な心境の変化がしっかり描かれていたと思います。やっぱり中ボスさんはただのギャグキャラではないようですね。妹が出てきた回の時の態度で何となく察しはついていましたけど。では第11話「赤い月が照らす夜」の感想いきます。
天界に向かうはずが、ラハール達の乗る船は不思議な世界へと迷い込んでしまうのでした。空には赤い月。エトナによれば、ここは「月渡しの雪原」という場所とのこと。するとどこからか何かの物音がしてきます。それは大勢のプリニー達の足音でした。彼らはどこかに向かっているようです。ラハールがプリニーを呼び止めても、彼らは会釈はするものの、また行ってしまうのでした。その態度にラハールは激怒しますが、以前出てきた赤い色のプリニーがそれを遮ります。赤いプリニーは彼らを黙って行かせてやって欲しい、とラハールに頼みます。家来に意見されたラハールは怒って行ってしまいます。フロンはその赤いプリニーが他のプリニー達とは違う雰囲気を持ってることに気づいたようですが、赤いプリニーはそのことを否定するのでした。
怒るラハールを諌めにエトナがやって来ます。どうやらエトナはプリニーがどこに向かっているのか知っているようですね。ラハールは魔王を名乗ってるくせに知らないのかよ。しかしエトナのジョークもフロンの説法も怒り心頭のラハールには火に油を注ぐだけになってしまうだけでした。
何故ラハールはあんなになってしまったのか?その理由がエトナから明かされます。実はラハールの母親は人間で、フロンと同じように愛について造詣の深い人だったようです。しかしその母は不治の病にかかってしまったラハールを救うため、自らの命を投げ出し死んでしまったのでした。母の自分に対する「愛」が母を殺してしまった。ゆえにラハールは「愛」を憎んでいるようです。
その時、赤い月が欠けて死神のような出で立ちをした何者かが月から降りてきます。祭壇のような場所から光の柱が注ぎ立ち、プリニー達は次々とその中に入っていきます。光の柱をつたって赤い月へと運ばれていくプリニーの魂。プリニー達は現世で罪を犯した悪しき者達の成れの果て、ゆえにその罪を洗い流すためにプリニーは天使や悪魔に仕えるのでした。そしてその罪が許された時、赤い月へと導かれ、プリニー達の魂は安息を得られるわけです。でも結構楽な罪滅ぼしですよね、手伝いするだけでいいならですけど。人に仕えることを贖罪とするならば、以前あったプリニー独立の話もなんかおかしいような気がしますね。
しかしラハールはそんなプリニー達の新たな旅立ちを許そうとはせず、それを止めようとします。邪魔はさせないと死神たちがラハールの前に立ち塞がります。中ボスと赤いプリニーは愛と魔界の王としての心得を上げて、ラハールを説得しようとします。赤いプリニーとかつての母の姿が重なった時、全てを察したラハールはそれに応じるのでした。
そして赤いプリニーにも旅立ちの時が。彼女は生前、自らの命を絶ったのでした。そういえば自殺した人は天国に行けないみたいな話を聞いたことがあるような。自殺という文字から見てもわかるように「自分を殺す」ってことだからある意味一番罪深いのかもしれませんね。自分の死のせいで息子は心を閉ざしてしまった。彼女はそれを長い間悔いていたのでした。しかしエトナやフロンのお陰で息子は大切な感情を取り戻しつつある。もう自分の役目は終わった、と彼女は言います。
彼女はラハールに体をいたわる言葉をかけ、エトナやフロンにラハールのことを頼みます。中ボスにも何か言いたそうでしたが、時間が来てしまうのでした。母との最後の別れにラハールは手を差し伸べ、何か言おうとしますが、それを飲み込み彼女の魂が赤い月に運ばれるのを見届けます。ラハールの雄たけびがどこか哀しげに響き渡ります。まあもし心というものが存在するならば、良心もまた必ず存在するはず。天使だろうが悪魔だろうがそれは変わらないってことでしょう。
さていよいよ次回は最終回。天界の真意も明らかになることでしょう。ラハールも気づいているようですが、中ボスさんの正体もですね。やはり愛に始まり愛に終わるのか(笑)。次回に期待です。
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